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まちづくり学校事務局のつぶやき


まちづくり学校事務局のつぶやき。日々の出来事、感じたことをゆるゆると。
by machionly
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【開催報告】第3回放課後サロン「マーカーを持った渡り鳥のまちづくり飛行録」

事務局の掛川です。
昨日12日(月)に「第3回 まちづくり学校 放課後サロン」を行いました。
放課後サロンは、まちづくりに関わる人たちからお話を聞く企画です。各回ごとにテーマを決めて気軽にお話できる場をつくっています。


今回の語り手はまちづくり学校理事である佐野智香さん。
タイトルは「マーカーを持った渡り鳥のまちづくり飛行録〜新潟で学び、岩手で教わったこと〜」。

大学時代からまちづくりに関わり、新潟で学んだ佐野さんは、20代で一念発起し、岩手県で人材育成のNPO法人を立ち上げます。
その後東日本大震災に遭い、震災後のまちづくりにも関わった佐野さんがどんなことを行っていたのか、被災地と若干の距離があるここ新潟で聞ける機会をつくりたいと企画しました。岩手での活動は新潟での学びが土台にあり、今回の放課後サロンでは、新潟でどんなことを学び、それが県外の現場でどう活きたか、逆に県外で何を教わったかを佐野さんのここまで至る経緯と併せてお聞きしました。
参加人数も少なかったので1つのテーブルを囲み、語り手の佐野さんとも近い距離で、時には会話しながらの楽しい回になりました。


では、放課後サロンの始まりです。

まちづくりとの出会いは、大学時代の「まなび屋」がきっかけ。
「まなび屋」は地域の子どもたちに学校とは異なる学びの場を提供する新潟大学の学生団体であり、現在も後輩に引き継がれ活動は続いています。佐野さんはこの創設メンバーとして活動していました。
また、平成16年7月新潟・福島豪雨(7.13水害)や新潟県中越地震に対する支援活動も行っていました。
【開催報告】第3回放課後サロン「マーカーを持った渡り鳥のまちづくり飛行録」_a0025214_16204433.jpg

▲まなび屋の創設メンバーと柏崎市でのまちづくり活動。


新潟では、ファシリテーションやワークショップ、プロセスデザイン、コミュニケーションなどを学んだそうです。ただ、講座には参加していたものの自分が現場をもって活動していたわけでありませんでした。
このとき、内野のとある商店で働いていた佐野さんは「20代、やり残したことはなんだろう?」と思い、一念発起。岩手県紫波町でまちづくりの人材育成を目指したNPO法人の立ち上げに関わることを志願し、その後事務局を務めます。
(ちなみに、この法人設立は、まちづくり学校が行っている「まちづくりコーディネーター養成講座」に岩手県紫波町の行政職員が新潟へ学びにきたことがきっかけでした。)

法人設立時、紫波町では法人格をとって活動する市民活動団体は少なく、まちづくりのNPO法人としては初めての団体でした。そうした理由からか、市民活動団体が集まる機会・人と人がつながる場が少なかったそうです。
佐野さんは、居心地の良い場づくりを常に考えて行ったり、できるだけ会いにいったり、情報発信に努めたりすることで人と人をつなぎ、人と情報をつなげていきます。場が出来たことで、それぞれの団体に参加者や共感者が増えたり、団体同士がコラボレーションした活動が生まれたりもしました。それぞれが持っている「思い」を事業化するお手伝いもし、これは新潟で学んだプロセスデザインが活かされました。


その後、東日本大震災をきっかけに宮古市田老地区へ行きます。避難所に支援物資を配りに行ったとき「私たちに物資を渡さないで」と言われ、衝撃を受けたそうです。この言葉は、支援の手が増え、支援されることが当たり前になりつつあることを被災者自身が感じ、「自分たちで自分たちの地域をなんとかしなければ!」という危機感から出てきた言葉でした。田老地区では、こうした自分たちで何かを始めようとしている人たちの応援をすることになりました。活動していくうちに、自分たちのまちを知らないことに気づいて自分たちで学んだり、通学路の街灯を直すためにまちの人たちが助成金に手を挙げ、自分たちでソーラーライトを設置したりする動きが出てきました。


実践の中でわかったことがあったと佐野さんは話します。
・小さな成功体験を積み重ねたことが自己肯定感と次のやる気を引き出した。
・苦手なところを肩代わりし、共に汗をかくことで継続性が生まれた。
・ときには時間をかけてじっくり、ひたすら待つことも大事。辛い震災体験を自ら話せる人が増えてきたり、他団体と協力する雰囲気が出てきた。
・岩手での活動を通して中間支援ができることと直接支援だからできることを痛感した。

これらは現場で活動していたからこその言葉だなと思います。
【開催報告】第3回放課後サロン「マーカーを持った渡り鳥のまちづくり飛行録」_a0025214_16221924.jpg

今回の放課後サロンは、新潟から遠く離れた場所で佐野さんがどんな活動をし、何を感じたのか、そこでの苦労話も含めて聞く機会になりました。まちづくりに関わるスキルやマインドだけでなく、現場で使う応用力がなければならないと再認識しました。現場が異なれば寄り添い方も変わり、加えて震災という状況がプラスされればより難しくなることを佐野さんの話から感じました。

新潟での学びと現場での気づきが合わさって、「刺さる言葉が多かった」という参加者の発言もあったように深い学びを得られた90分でした。

参加された方からいただいた感想をいくつか掲載します。
『これからの仕事や生き方を考える機会になった。』
『自分も支援をしている側なので、いろんなことを考えました・・・。切ない想いもたくさんしてこられたんだろうなぁ、と。来てよかったです。』
『ネットワークの中に「バランス感覚」をもった方がいることの重要性。急ぎすぎず、ただ歩みをとめない、フラットな中立な立場の人がいることが円滑な活動につながっていくのかなと思った。』
『仕事の取り組む姿勢、一生懸命やっていくと次の担い手に出逢えるんだと思いました。』


以下実施概要です。
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NPO法人まちづくり学校 放課後サロン
〜〝変〟な人?…NO!〝変〟える人たちがまちとなりわいを語る90分〜
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新潟にはまちづくりに関わる人がたくさんいます。個性的な人多し。
ゆえに昔は、まちづくりや市民活動に関わる人は「ちょっと変な人」と見られることもありました(f;^^)。しかし今や、まちに関わることは自分たちの未来をつくっていくことであり、それが仕事になっている人もいます。さらに、最近のまちあるきブームやコミュニティビジネス、リノベーションなど、まち固有の魅力を活かした取り組みが拡がり、「まちっておもしろい!」と感じる人が多くなっています。
まちに関わるさまざまな取り組みや仕事を、携わる〝人〟から直接聴いて対話を行うと、より理解が深まり楽しくなるし、いろんなヒントも得られます。月1回ペースでいろんな人のお話が聴ける放課後サロン、お仕事や学校帰りに気軽に立ち寄ってくださいね!
※「この人の話が聴きたい!」というリクエストも受付中。まちづくり学校事務局までどうぞ。

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〈第3回〉9月12日(月)19:00〜@新潟市西地区公民館
 語り手:佐野智香さん(まちづくり学校 理事)
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 新潟県燕市出身の佐野智香(さのちか)さん。ファシリテーショングラフィックの講座も担当し、新潟と岩手を行ったり来たりしていることから「マーカーを持った渡り鳥」なんて呼ばれています。
 佐野さんは、大学時代から「まちづくり」に関わり、紆余曲折しながらも、一念発起し岩手県で人材育成のNPO法人の立ち上げに関わります。岩手で活動する中で、新潟で学んだことを実際の現場でどのように活かせば良いのか試行錯誤する一方で、現場が教えてくれたことは数知れないとのこと。
 今回の放課後サロンでは、佐野さんが得た「スキル」や、その「現場での活かし方」を体験談とともにお聞きします。

◆以下、詳細
■日時:2016年9月12日(月)19:00〜20:30(受付:18:50から)
■場所:西地区公民館 講座室【新潟市西区内野町603】
■語り手:佐野智香さん(まちづくり学校 理事)
■参加費:¥1,000(正会員は¥500)

◆語り手プロフィール
【経歴】
 1981年新潟県燕市(旧吉田町)生まれ。
 大学時代に子どもたちの放課後の居場所づくりとして「まなび屋」を始めたことをきっかけに、まちづくりの世界に足を踏み入れる。2008年に岩手県に活動の拠点を移し、市民参加・協働・公民連携・復興のまちづくりに関わりながら修行を重ねる。2011年からは再び新潟県に拠点を戻し、母校で非常勤講師をしながら大学生のまちづくりの参加が増加するように、密やかに奮闘中。尚、岩手県での活動も継続中。
【所属】
・NPO法人まちづくり学校 理事
・NPO法人点空社(てんからしゃ) 理事
・株式会社カントリー・ラボ 取締役
・新潟市西地区公民館 活動協力員(3期目)
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by machionly | 2016-09-13 16:34 | 放課後サロン